全国各地、18きっぷで乗れる乗り得列車のご紹介

格安鉄道旅の心得(こころえ)という記事でもすこし触れましたが、全国各地に18きっぷで乗ることのできる普通・快速列車が存在します。この記事ではそんなお得な列車についてご紹介いたします

北海道の乗り得列車

1:石北本線「特別快速きたみ」

急行型列車キハ54系の単行で運行される特別快速列車です、キハ54系の高出力をいかして旭川~北見間を一日一往復、特急列車オホーツク、大雪などとそん色ないスピードで走破します、特別快速とありますが追加料金は不要です

座席は特急列車などのお下がりを利用したもので簡易リクライニング機能があり、少し経年劣化は否めませんが十分快適です、18きっぷ期間は混雑するので座席を確保するなら始発駅で並びましょう。おもに週末に設定され同じ区間を走行する無名の臨時快速も便利です

2:花咲線「ルパン列車」、快速「ノサップ」「はなさき」

釧路~根室間を結ぶ花咲線には沿線の浜中町出身の漫画家、モンキー・パンチ氏の代表作「ルパン三世」にちなんだラッピング列車が存在します。キハ54系の内装を改造し、座席は特急列車スーパーおおぞらの指定席と同じものが配置されとても快適です。運用は固定されていないため、この列車に当たったらラッキーですね。追加料金は不要です

快速「ノサップ」「はなさき」はかつての急行「ノサップ」の名前を引き継いで花咲線を快速運転する列車です、キハ54系で運行され、座席は特別快速きたみと同じく簡易リクライニング付クロスシート車です。追加料金不要です

3:釧網本線「快速しれとこ」

網走~釧路間を走る快速列車で、快速列車ながら立派なヘッドマークが付いており、風格があります。キハ54系で運行され、車内は特別快速きたみと同じく簡易リクライニング式クロスシートまたは集団お見合い形シートと呼ばれる中央で座席の向きが分かれて固定されるタイプのものです。追加料金は不要です

北海道のキハ54系列車全てに言えることですが、座席と窓割りの位置が合っていない席があり、座席によっては窓枠が邪魔でほとんど外が見えないということもあります、選べるなら座席の位置は吟味しましょう

4:季節運行「富良野・美瑛ノロッコ号」「快速ふらの・びえい号」「くしろ湿原ノロッコ号」

季節運行の臨時列車ですが、富良野線内の旭川~美瑛~富良野間を走る「富良野・美瑛ノロッコ号」「快速ふらの・びえい号」、釧網本線釧路~塘路間を走る「くしろ湿原ノロッコ号」にも18きっぷで乗ることができます

ノロッコ号は自由席に乗るなら追加料金不要ですが指定席に乗る場合は520円が別途必要となります。せっかく風光明媚な区間を走る列車ですので、座席のグレードの高い指定席を利用するのもオススメです。50系客車を改造したトロッコ列車ならではの開放感あふれる車両です

「快速ふらの、びえい号」は近年増加するインバウンド需要にこたえて2018年夏季にノロッコ号の混雑緩和として同区間に設定されました、特急列車キハ183系を利用した列車で追加料金不要の全車自由席です

5:石勝線、新夕張~新得特例区間

石勝線の新夕張~新得間は普通・快速列車が一本も走っていないため、この区間には特例で18きっぷでの特急列車への乗車が許可されています。特例は新夕張~新得間の乗降のみで、それ以外の区間に乗車する場合は乗車全区間の乗車券と特急料金全額が必要となります、ご注意ください

特例があるとはいえ、列車本数が極端に少ないこの区間は新夕張、新得での乗り継ぎが悪く、特に新夕張から新得への移動は長時間待たされることが多いダイヤとなっています

逆区間の新得から新夕張へは新得11:45発12:47新夕張着の特急スーパーとかちの普通列車との接続が良いため、18きっぷでの移動にはこの列車がねらい目です

モデルコースとして帯広から札幌まで帯広10:04→11:23新得11:45→12:47新夕張13:03→14:13南千歳14:18→14:52札幌と乗り継ぐことによって、5時間弱で18きっぷのみで移動することができます

東北の乗り得列車

1:五能線・奥羽本線「快速リゾートしらかみ」

五能線と奥羽本線を経由して秋田~青森(一部列車は弘前発着)を走る快速列車で、現在東北各地を走るリゾート列車のさきがけとなったジョイフルトレインです

キハ58改造型のくまげら編成と新型ハイブリッド車両の青池・橅編成の三種類があります、座席は足元がゆったりしたクロスシートと完全フラットタイプのお座敷に転換できる広々としたボックス席にわかれ、充実した設備と快適な居住性は特急列車のグリーン車をもしのぎます

所要時間は秋田~青森を5時間超と純粋に移動手段としてみるとスピード面では物足りませんが、荒涼とした日本海の荒波や、白神山地など自然豊かな沿線の車窓は見るものをして飽かしめません。全席指定なので追加料金520円(閑散期は320円)が必要です

2:大湊線「快速 リゾートあすなろ」八戸線「リゾートうみねこ」
陸羽東線「リゾートみのり」

どれも金土日祝と繁忙期の週末運行がメインですが、リゾートあすなろは新青森~蟹田・三厩・大湊・八戸間および八戸~大湊駅間をむすぶ足元のゆったりした転換クロスシート主体のハイブリット車両です。全車指定席で別途指定席料金が必要です

リゾートうみねこはおもに土休日に設定される八戸線の八戸~久慈間を結ぶキハ48改造型リゾート列車です。沿線の種差海岸やリアス式で有名な三陸海岸沿いの美しい景色を眺めながら走ります

指定席車両と自由席車両が存在し、自由席は追加料金なしで乗ることができますが沿線地元民の足としても重宝な列車なので、特に八戸方では始発でほとんど満席になります、乗り鉄の旅なら指定席料金を払ってでもゆったりと過ごしたいものです、一人がけの座席は
海を見られるよう45度窓側に向けた状態で固定可能です

陸羽東線の仙台~新庄間で週末を中心に運行されるリゾートみのりはキハ48改造型のリゾート列車です。座席はクロスシート主体でシートピッチはリゾートしらかみと同じく特急グリーン車をもしのぐ1,200mmとゆったりした足元の快適な座席で移動することができます

3:只見線・磐越西線「快速AIZUマウントエクスプレス」

会津鉄道の快速列車AIZUマウントエクスプレスは、会津鉄道所有のAT700形、AT600形専用車両で運行される快速列車です、かつては名鉄特急の北アルプス号に使用されていたキハ8500系で運用されていました

会津鉄道は会津若松と日光方面を結ぶ第3セクター鉄道ですが、運行区間が重複している只見線の西若松~会津若松、会津若松~喜多方区間は18きっぷでの乗車が可能です、それほど長い距離を乗れるわけではありませんが、特急列車に準ずる設備を備えた車両での移動は快適です

4:磐越西線「SLばんえつ物語」

全国各地で運行されているSL列車は全て快速車両なので18きっぷで乗ることができます

磐越西線の会津若松~新津駅間で春~秋の土休日を中心に一往復運行されている臨時快速です、C57型機関車が牽引する12系座席車4両・展望車2両・展望グリーン車1両計7両での運行です。全席指定520円の追加料金が必要です、グリーン車両指定席には18きっぷで乗ることはできません


関東・信越の乗り得列車

1:羽越本線「きらきらうえつ」

きらきらうえつは特急用の485系電車を改造した全席指定の快速列車です、別途指定料金520円は必要となりますが、新潟~酒田の長距離を快適な特急用車両で移動できるのは大変魅力的です。所要時間も同区間を走る特急いなほとほとんど遜色ありません

春や秋の3連休にはリゾートしらかみリレー号として新潟~秋田まで延伸して運転されることもあり、これを利用すれば新潟~青森を18きっぷに格安の指定席料金を足すだけで特別車両のみでの移動が可能です、日本を代表する乗り得列車のひとつです

2:信越本線・白新線・羽越本線「おはよう信越」「らくらくトレイン信越」「らくらくトレイン村上」

いずれも特急しらゆきに充当されているE653系という車両を、朝晩の着席需要にこたえる形でホームライナーとして運用している快速列車です。「信越」は新潟~直江津間を「村上」は新潟~村上間を結びます

乗車には乗車整理券310円が必要です、整理券はどこまで乗っても同じ料金です。席は全て自由席なので、空いてる席ならどこでも自由に座る事ができます

3:首都圏の普通・快速列車のグリーン車自由席

首都圏で運用されている普通・快速列車のグリーン車自由席はあまり乗り得列車として認知されていませんが、うまく利用すれば18きっぷに追加料金980円(休日は780円)で沼津・伊東・久里浜~黒磯・高崎・成田空港・高荻などの長距離を快適に移動できます

短距離の乗車ではグリーン車に乗る旨みがほとんどありませんが、静岡から東北まで一気に抜ける時など4時間近い長距離移動の際に特に効果を発揮します、グリーン料金は50キロ以上ならどこまで乗っても同じ料金だからです

一本の列車ではなく複数の列車を乗り継いでも一回分の料金で利用可能ですが、乗り継ぎの方向は順方向のみで折り返し方向への乗り継ぎは認められていません、また、事前購入と車内購入では250円ほど料金がかわるなどやや複雑なルールが存在するので、乗車前にしっかりと確認しておきましょう


4:中央本線東「ホリデー快速ビューやまなし」

土曜休日を中心に運行されている中央線経由で山梨・信州方面に出かける場合に便利な電車です、215系というオール2階建て車両で座席は固定式ボックス席、多少圧迫感がありますがなかなか快適です

料金は自由席を利用する場合は追加料金無料、指定席は520円で利用可能です、グリーン車も併結されていますがグリーン指定席には18きっぷで乗ることはできません

5:篠ノ井線・大糸線「リゾートビューふるさと」

週末を中心に運転されている新型ハイブリッド気動車を利用したリゾート列車です、長野~松本~南小谷をむすびます

長野~松本間で途中日本三大車窓と呼ばれる姨捨駅から善光寺平らの眺めを楽しむことが出来、松本から大糸線に入ると北アルプスが車窓左手側に広がります。折り返し松本→長野方面の列車は姨捨駅からの夜景を楽しむことが出来ます、全席指定、追加料金は520円です

東海の乗り得列車

1:東海道本線「ホームライナー浜松」「静岡」「沼津」

ロングシートでの長距離移動を強いられる18きっぷの浜松~静岡~沼津区間の強い味方がこのホームライナーです、かつてムーンライトながらにも充当されていた特急用373系電車での運行となります。乗車には乗車整理券320円が必要です

浜松~静岡、静岡~沼津、沼津~浜松の3区間のホームライナーが存在しますが、特に便利なのが沼津駅18:31発浜松20:10到着のホームライナー浜松3号です。この列車は浜松でそのまま普通列車豊橋行きに変化しますので、沼津~豊橋の長距離を快適な373系で移動することが出来ます

乗車整理券はみどりの窓口では取り扱っていないので、駅の券売機で買うか、券を持たずに飛び乗って、車内で空いてる座席に座って車掌さんに直接精算してもらいましょう。とても便利な列車ですが、この列車に乗るとタッチの差で米原から大阪方面の終電には間に合いません

2:中央本線西「快速ナイスホリデー木曽路」

夏、秋の週末、GWなどの繁忙期に名古屋~塩尻を快速運転する列車です、JR東海の快速用列車である311系または313系クロスシート車両で運転されます

名前はついていますが料金不要の快速列車です、木曽区間を快速運転する数少ない列車でもあります。京都5:30発の普通米原行きに乗れば、名古屋駅での乗り継ぎ時間がたった2分しかありませんが、ギリギリ乗り継ぐことは出来ます。すこしでも列車の到着が遅れたらアウトなのでかなりのバクチになりますが・・・

3:中央本線西「普通・快速列車の313系8000番台運用」

313系8000番台は、かつてセントラルライナーとして中央本線のホームライナーに充当されていた列車です。セントラルライナー廃止後は料金不要の普通・快速電車として運用されています

かつて優等列車として運転されていただけのことはあって、リクライニングこそしませんが座席の間隔は広く、窓にはカーテンも装備されているなど、車内設備はなかなか快適です。211系、313系などとの併結運用もありますが、その場合はおおむね名古屋方に8000番台が配置されることが多いです

4:関西本線「快速みえ」

併走する近鉄に対抗してシェア奪還を期しJR東海が満を持して投入した高性能気動車キハ75系「快速みえ」です、名古屋~鳥羽間を結びます

キハ75系はかつて急行「かすが」の運用にあたっていたこともあり、車内設備は普通の快速列車以上、特急未満といったところでなかなか快適です、注意しなければならないのは途中の河原田~津間は伊勢鉄道の線路を走るため運賃510円が別途必要なことと、高速走行のため揺れが激しく走行音もかなりうるさいことです、このカミンズエンジンの加速音がたまらないという鉄道ファンもかなりいますが

西日本の乗り得列車

1:呉線「快速瀬戸内マリンビュー」

キハ40を改造したリゾート列車で、海沿いの景色を走る呉線にふさわしく、車内は船室をモチーフにした丸窓が配置され、浮き輪やボートのオールを模したディスプレイなど遊び心満載の列車です

自由席と指定席があり、自由席は普通のセミクロスシートなのでここは少々奮発して指定席でクルージング気分を楽しみたいところです

2:木次線「トロッコ列車奥出雲おろち号」

4月から11月の週末に運行されている観光用トロッコ列車です、ちなみに画像は管理人Pが別の列車で木次線に乗った時のもので、おろち号ではありません。全席指定列車なので別途指定券が必要です

有名な三井野原駅~出雲坂根駅間の三段式スイッチバック、奥出雲おろちループ橋などの名所では徐行運転するサービスもあります

四国・九州の乗り得列車

1:予土線三兄弟「鉄道ホビートレイン」「海洋堂ホビートレイン」「しまんトロッコ」

JR四国の予土線を走る観光列車三兄弟です、鉄道ホビートレインは新幹線の生みの親である伊予西条出身の国鉄総裁十河信二の功績をたたえて0系新幹線がモデル、海洋堂ホビートレインはフィギュアメーカーの海洋堂が四万十川のかっぱ伝説をもとに車内にかっぱのフィギュアを配するなど、楽しい雰囲気のキハ32改造列車です、追加料金は不要です

しまんトロッコは全席指定のキハ54改造トロッコ列車でこちらは指定席料金が必須です。繁忙期にはこの三列車が併結した予土線三兄弟列車として走ることもあります

2:肥薩線「いさぶろう」「しんぺい」

キハ40、140改造型の観光列車です、2号車に7席分の自由席があるほかはすべて指定席のため、事前に指定券を買っておいたほうが無難でしょう

名前の由来は肥薩線とゆかりのある山縣伊三郎と後藤新平にちなみ、名所の矢岳峠越えやループで名高い大畑駅では徐行運転、長時間停車などもおこないます

2017年のダイヤ改正で熊本~人吉間が特急列車に格上げされ、18きっぷで乗車できるのは人吉~吉松間だけになりました、お気をつけください

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