「比羅夫駅」私的評価に飛ぶ
函館本線の小樽から長万部間は通称山線とよばれ、かつては特急列車も多数設定された幹線でしたが、現在その役割は室蘭本線にゆずり、地域住民の通勤通学の足としてほそぼそと運行されるローカル線に転落しました
しかし日本とは思えないような大陸的平原風景、雄大なニセコ山脈、蝦夷富士と異名をとる羊蹄山、清流尻別川を望む車窓は日本屈指、乗り鉄にとってあこがれの路線でもあります。そんな函館本線(山線)の中間に位置する比羅夫駅にて下車し、駅舎を改造して民宿を営業されている「駅の宿ひらふ」さんに宿泊した折の記録です
駅の宿ひらふさんのホームページにて紹介されているとおり、駅からたったの徒歩17歩!ホテルのアクセス紹介で「駅から○分~」などという表記はよく見ますが「○○歩」という紹介はこちらの宿くらいのものでしょう。駅舎を改造して民宿を営業されている日本で唯一の大変ユニークな宿です
「駅の宿ひらふ」宿泊料3,650円~、夕食バーベキュー1,600円(夏季のみ)、冷蔵庫にジュース・ビール等ドリンク類あり150円~、ニセコグランヒラフスキー場への送迎片道200円(冬季のみ)
ホームは一面一線、日本有数の豪雪地帯にあり冬季はこのように駅名票が雪に埋もれてしまいます。「比羅夫」という駅名は、かつて7世紀なかごろに船団を率いて蝦夷地(北海道)に遠征した阿倍比羅夫将軍がここまで到達したという記録に由来します。日本史では白村江の戦いの日本側の総大将として有名ですが、飛鳥時代に朝廷の勢力がここまで到達していたとはおどろきです
駅の宿ひらふ、宿泊者用のロビー兼談話室です、冬季は薪ストーブに火が入れられます、遠くに見えるあかりはナイター営業中のニセコグランヒラフスキー場です。室内は電球色のおさえた照明で、おだやかなあかりに大変こころがなごみます
談話室でくつろいでいるとホームに列車が停まりました。宿からこんな景色がみられるのも日本で唯一ここだけでしょう
宿泊用ログハウスの外観および内装です。すべり台があったりプーさんのぬいぐるみが置いてあったり、遊び心たっぷりの部屋です。寝室は落ち着いた雰囲気で周辺を大自然に囲まれ店舗や住人の物音も無いという立地もあり夜はとても静かです
オーナーさんが丸太をくりぬいて自作したという自慢のお風呂。こちらは旧タイプのもので現在は新しい丸太風呂になっているようです。夏季は天井が露天になり、満天の星空を眺めながら湯につかることができます
駅の宿ひらふさんといえばこちらのバーベキュー。なんと駅のホームに設置されており、時折やってくる列車を見ながら&乗客の視線を浴びながらジンギスカン、北海道産のとれたて野菜、積丹半島の海鮮に舌鼓。サッポロクラシックが最高にうまい!これで1,600円というのは間違いなく破格です。バーベキューは夏季のみ実施ですのでお気をつけください
バーベキューは夏季だけですが、冬季にはスキーとともにこんなお楽しみもあります。深夜に時折やってくる雪かき用のド迫力のラッセル車が間近で見られます、列車好きにはたまりませんね!
冬季はやどからニセコグランヒラフスキー場へ送迎のクルマを出していただけます、片道たったの200円です。倶知安駅からバスに乗ると400円くらいかかりますのでこちらも破格。せっかくなので滑りに行きましょう!
準備をすませてこっそり自撮り。スキー初心者の分際でカメラを持って滑るという無謀なたくらみです。ウェルカムセンターから第一リフトに乗り込みいざ出発!
第1リフトを降りた地点から。スキー板を模した温度計のモニュメントより正面に羊蹄山を望みます。この日は運よく快晴でくっきり見えました。蝦夷富士と異名を取る秀麗な山峰を見ながら滑れる、最高ですね!
ニセコグランヒラフは緩斜面が少なく、中・上級者向きのスキー場とされていますが、本州のスキー場と比べものにならないくらいゲレンデが広いのでターンを少なく大回りにすれば初心者でも十分滑れます。リフトやゴンドラも混雑しらずで、パウダースノーと呼ばれる雪質も含め海外のスキーヤーからの評価が高く、滑っている人の半数以上が海外(特に南半球のオーストラリア)客という日本でも他に類を見ない国際レベルのスキー場です
キング第一リフトに乗って無謀にも頂上へ・・・
こちらが頂上からの眺めです、羊蹄山のみならず積丹半島までがぐるりと見渡せます。頂上付近のゲレンデは非圧雪地帯でおどろくほどふかふか、わざわざ海外からスキー場のふもとの土地を買ってコテージを建ててまで滑りに来るお客さんが居るのも納得です。私は頂上付近の40度近い斜度にあえなく撃沈し、何度も転んだ上にカメラのレンズキャップを無くしマウントがはがれましたが・・・
「比羅夫駅」私的評価(10点満点)
補足説明
駅への到達難易度:近隣の空港・大都市・新幹線駅からのアクセス
駅の雰囲気・設備:駅の利便性や駅舎の歴史的価値、芸術性など
駅周辺の利便性:駅から繁華街までのアクセス、駅周辺の商店やホテルの充実度など
グルメ:その土地ならではのグルメの充実度、レストランの数、選択肢の多さなど
自然:駅周辺の自然環境
駅への到達難易度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9点)
札幌からは乗り継ぎがよければ3時間程度だが、函館本線山線は早朝の快速ニセコライナーをのぞき基本的に普通列車のみで本数もかなり限られる。となりの倶知安駅と小樽の間まではそれなりに本数もあるが、倶知安-長万部が難関。
駅の雰囲気・設備:☆☆☆☆☆☆☆☆(8点)
1面1線のローカル線無人駅でトイレもなく設備そのものは貧弱だが、国鉄職員が駅業務や簡易宿泊所として利用していた駅舎自体を民宿として再利用するというほかに類を見ない駅であり、資料的価値も高い
駅周辺の利便性:☆☆☆(3点)
駅周辺に商店・コンビニ等は皆無だが、駅からホテルへのアクセスという意味でこの駅の右に出るものはないだろう
グルメ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9点)
駅のプラットホームでやってくる列車を見ながらバーベキューができる日本唯一の駅である。鉄道ファンにはたまらないだろう。料金もきわめて良心的
自然:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)
羊蹄山のふもとに広がる広大な針葉樹林の森と大平野、夜は満天の星、夏は登山、冬はスキーも楽しめる。ここにくれば必ず北海道の自然を満喫できるだろう
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