こんなに安く行ける!冬の北海道・五泊六日格安乗り鉄の旅その六(最終回)「最果ての原始の景色を求めて、花咲線とバスを乗り継ぎ終わりの地へ」(費用明細あり)

年中ヒマをもてあましている管理人Pが12/11(火)~12/16(日)にかけて道東・道央をひがし北海道フリーパスで巡った旅行記その六です、(その一その二その三その四その五はこちら)その六では根室本線末端部である花咲線とバスを乗り継ぎ、旅の終わりの地へ向かう様子を紹介いたします

フリーパス最終日、列車は最果ての荒野を目指し東へ

おはよう!今日はひがし北海道フリーパスの最終日、絵に描いたようなとかち晴れだね

最終日も好天にめぐまれてよかったわね

ところで最終日はどこに行くの?

今日は北海道の東の果ての「何も無い場所」に行くよ。とりあえず特急スーパーおおぞら1号で釧路へ向かいます

ええっ?何も無い場所って・・・おいしいご飯とか温泉とか・・・せめてコンビニくらいはあるんでしょうね?

無いよ。本当に何も無いところ

あたしホテルでゆっくりしてたいわ!何も無いなんてつまんない!

まあまあ、最後の日くらいは「本当の自然」を見に行こうよ

えっ、これまでも十分自然あふれる場所を旅行してたと思うけど・・・美瑛や富良野の農場とか十勝沿線の牧場や酪農地帯の車窓とか・・・

農場や牧場は本来の意味の自然ではなく、人が作り変えた いわば「管理された自然」だよね。有史以来そうやって人間は世界各地あらゆる場所を切り拓いて進出し繁栄を謳歌してきたわけだけど、それでもまだ取り残された場所は残ってる。今日はその場所のひとつに行くよ

なにあれードラクエのお城みたい!アリアハン城へようこそ!

あれは池田駅近くにあるワイン城だね。池田町はとかちワインブランドで知られるワインの町で、この町出身のドリカムのボーカル・吉田美和さんのドリカム記念館もあるよ

あれはワイン工場だったんだ、中世のお城みたいね。ところで昨日買ったますやパン食べようよ。朝食まだだし

じゃあチーズパンとソーセージのパンを分けっこしよう。あっ、ソーセージ大きいほう取られちゃった・・・

やっぱりおいしいわねますやのパン、香ばしい小麦と濃厚なチーズが最高!ところで解説くん、「パンはパンでも食べられないパン」って何か知ってる?

またベタなクイズだな・・・・答えは「フライパン」と見せかけてちょっとひねって「ジーパン」とみた!

ブッブー!だめねーこんな簡単な問題がわからないなんて。答えは「ぶどうパン」よ、あたしレーズンが苦手で・・・

おまえが嫌いで食べられないだけやないか!

11:00釧路駅に到着、11:12釧路発の快速ノサップ号( 全国各地、18きっぷで乗れる乗り得列車のご紹介 )でさらに東へと向かいます。ここから先は根室本線の末端区間で花咲線という愛称で呼ばれています

流氷をイメージした車体なのね、クリオネが描かれてるわ。座席も青と白が主体の流氷カラーね

違うホームに停まってるのはルパン列車(全国各地、18きっぷで乗れる乗り得列車のご紹介)だね。今日は釧網本線の運用についてるみたいだ

オイお前ぇ!この写真の男を見なかったか?ばっかも~ん!そいつがルパンだあぁ~い!!

(やべぇ・・・似てる)

花咲線は牡蠣で有名な厚岸駅を過ぎると右手側に厚岸湖と別寒辺牛(ベカンベウシ)湿原の雄大な眺めが広がります

別寒辺牛(ベカンベウシ)ってなんかものすごく読みにくい地名ね

北海道の地名はもとからあったアイヌ語の地名に無理やり当て字をしたものが多いからなあ、音威子府(おといねっぷ)とか大楽毛(おたのしけ)とか珸瑤瑁(ごようまい)とか

どれも読めそうも無い・・・

とりあえず「別」や「内」という漢字の地名はアイヌ語で「川・沢」をあらわす言葉で、ほかにも「牛」は「~のあるところ」、「幌」は「広大な」という意味くらいは覚えておいたほうがいい

「幌」といえば「札幌」の「幌」ね

「札幌」は「札」が「乾燥した」「幌」が「広大な」で「乾いた広大な場所」という意味になる。まさしく北海道の首府を置くにふさわしい地名だね

ここで降りるよ、かつて標津線と根室本線の分岐駅であった「厚床駅」です

あれ?最果ての地というからてっきり終点の根室駅から日本最東端の納沙布岬にいくのかと思ったら違うのね

ここでねむろ交通のバスに乗り換え。このバスは廃線になった標津線を補完する形で中標津-厚床-根室を結んでいます

車体のあちこちに雪と氷がこびりついてるわ、そうとう厳しい環境を走ってきたのね

かつての家畜市場跡地に立つ厚床小中学校です。今は無人駅の厚床駅ですが、かつては馬や牛の買い付けに年間60万人もの利用客が訪れてにぎわいをみせました

年間60万人・・・現在の駅の様子からはちょっと想像できないわね

国道44号線を根室方面に走ります、このあたりはエゾシカの生息地でよく道路にや線路に飛び出してくることからこのような注意喚起が見られます

標識だけじゃなく道路にまで大きく何回も書かれてるって、よっぽど事故が多いのね

厚床駅から20分ほど乗車し、東梅バス停で下車します。ここまで990円です

20分乗車で990円って・・・ちょっと高すぎない?

いや、高くない

えっ?どうして・・・

このバスに乗ってるのは自分達だけだったでしょ?客の少ない閑散路線を維持する為には必要な費用なんだよ、もしバスが無くてタクシーを使ったらこの3倍はかかるし、そもそも厚床駅にタクシーを手配するのも大変だ。路線を残しておいてくれてることに感謝しないといけないよ

ここまでの費用:50,075円+990円(ねむろ交通バス厚床-東梅)51,065円

情報収集を兼ねて東梅バス停から徒歩2分のところにあるネイチャーセンターに向かいます

コインロッカー探してたら職員さんが荷物を預かってくれたわ、ありがとうございます!

ネイチャーセンターの周りにさっそくエゾシカを発見しました。こちらの様子をうかがってるよ

本当にあちこちにいるわね・・・一定の距離に近づくまで逃げないところを見るとかなり人なれしてるわね

旅の終わりの地へ~シュンクニタイ(春国岱)

ネイチャーセンターから一旦国道にもどり、シュンクニタイ(春国岱 )へ向かう坂をくだって風連湖との間の橋を渡ります

ここが目的地なのね、シュンクニタイってどういう意味?

漢字の「春国岱」は」アイヌ語のスンク(エゾ松)ニタイ(林・森)の当て字で、砂州上に広がるエゾ松林から付けられた地名です

アイヌ語の由来を知らないと「しゅんこくたい」と間違えて読んでしまいそう

さあ、ここから木道を通って「何も無い場所」へ行くよ

この場所の時点で十分に何も無い場所だと思うけど・・・

高架木道が設置されているのでここを3キロほど歩くよ、木道は高潮被害で長い間通行止めになっていたんだけど、全国から寄せられた寄付によって去年(2017年)修復が完了して通れるようになりました

寄付で直ったんだ・・・ここを無料で歩けることに感謝しないといけないわね

左手に広がる風連湖はアサリと北寄(ホッキ)貝の好漁場で、潮干狩りのシーズンには人でにぎわいます

シュンクニタイ(春国岱)は三列に連なった細長い砂州で構成されており、この橋を渡ったところが第二砂州です

木道のおかげでここまで快適に歩けたわ!ここまでシュンクニタイ入口から10分くらいね

橋を渡ってさらに奥へ、奥へ

このあたり、護岸工事の進んだ本州の海岸線ではまず見られない景色ね・・・人の手の入らない冬の入り江ってこういうふうになるんだ・・・

エゾシカ発見!こんな砂の島にも生息してるのね

ここは野生動物の宝庫だよ、エゾリス、エゾシカ、キタキツネ、ヒグマ、野鳥の観察としても全国有数のスポットだね

ヒグマには会わないことを祈るわ・・・

木道の分岐にたどりつきました。目的地へは右側のキタキツネの道を行くのですが、せっかくなので左のアカエゾマツの林を見ていこう

だいぶん雪が深くなってきたわね

分岐のあたりには立ち枯れたトドマツやエゾマツの枯死して白骸化した風景が広がります

なにかこう、世界の終わりの姿のようなさびしい景色なんだけど、見るものを惹きつけるわ・・・

トドワラは同じく道東にある野付半島のものが有名だけど、あちらは現在ほとんど朽ち果ててしまい、むしろこちらのシュンクニタイのほうがはっきりとした形を眺めることができます

こちらがシュンクニタイ(エゾ松の林)の名前のもととなった第三砂丘に広がる砂州上の森林です。世界的に見ても砂州上の森林というのは大変珍しいそうです

木道に積もった雪がだいぶ深くなって歩きにくかったわ、それとこの森もなんとなく倒れたり白く枯死してる木が見られるような・・・

ざんねんながらこの珍しい砂丘上のエゾマツ林も年を追うごとに海面の上昇で塩分で立ち枯れる木が増え、面積を狭めているそうです

先ほどの分岐に戻り、ここからは木道の上ではなく左右にロープを張られた地面を歩きます

地面の上は木道よりさらに雪が深くて・・・一歩あるくごとに足がズボズボ埋まって大変!

まだ14時台なのにだいぶ陽が翳ってきたわね

あたりに灯りがないため陽が落ちると真っ暗闇につつまれたいへん危険です、シュンクニタイを冬に訪れる際は早めに引き返すことをおすすめします

なんだかシカも心配そう。早く帰りなさいって言ってるみたい

帰りのバスの時間も迫ってるしそろそろ引き上げないと・・・でもあと少しで目的地だよ、頑張って!

着いたー!シュンクニタイ入口から歩いて約一時間。ここが今回の旅の終わりの場所だよ

えっ、ここが終わり?

この先はスノーシューなどの装備がないと危険だからここまでにします。ほら「何も無い場所」だよ

・・・・・・・ほんとに何も無いわね

・・・・・・・サキちゃん、ちょっと深呼吸してみて。すうはあすうはあ・・・

すうはあ、すうはあ・・・・・

じゃあ、帰ろう!

なにそれ、深呼吸するためにこんな何も無い場所に来たわけ?

ああ、いっぺん最も文明から外れた「何も無い場所」で最高に気持ちのいい深呼吸してみたかったんだよ

こんな時間と労力とお金をかけて、ただ深呼吸したかったって、いやお金はあんまりかからなったけど・・・ほんとバッカみたい。帰りましょ!

帰還

中標津空港からやってきたバスで根室駅に向かいます。東梅-根室駅前で620円ですね

16時前なのにほとんど陽が暮れてるわ、早めに撤収しておいてよかったわね

ここまでの費用:51,065円+620円(ねむろ交通バス東梅-根室駅前)51,685円

根室16:09発釧路行き普通列車がやってきました。なんとタラコ色のキハ40!これはテンション上がるなあ

よくわかんない・・・座席もいたって普通の昔懐かしい感じのボックス席だし・・・

このタラコ色キハ40は花咲線では超レアな運用なんだよ、普通のキハ40でもあまり見かけないのにこいつは超レアなの!スーレア!SSR!

解説くん、ソシャゲに課金して身を滅ぼすタイプね

きょうの宿は初日と同じくホテルクラウンヒルズ釧路駅前、一泊朝食付きで4,420円です

このホテル大浴場があって広くて気持ちいいのよねー!

ここまでの費用:51,685円+4,420円(ホテルクラウンヒルズ釧路駅前一泊朝食付)56,105円

晩御飯もホテルで済ませようか、厚切りステーキに小鉢とサラダにおかわり自由のご飯と味噌汁とデザート付いてなんと1,200円です!(宿泊者限定価格)

これは安い!外寒いし食べに行くのおっくうだなあと思ってたから助かるわあ!

繁華街の末広町まで行けば色々お店もあるんだけど、駅から歩いて15分くらいとちょっと遠いのが難点なんだよね、それと北大通は人通り少なくて夜歩くのはちょっと・・・

ここまでの費用:56,105円+1,200円(宿泊者限定夕食割)57,305円

大浴場で疲れを取ってぐっすり寝た後は京都へ帰る出発前にホテルの朝食で腹ごしらえだ

このホテルの朝食も品揃えすごいわね、七輪で魚を炙って焼いて食べられるのも面白い工夫ね。10階からの眺めも素晴らしいわ!

ホテル目の前の釧路駅バスターミナルから、空港行きのバスに乗ります。940円です

あれ?到着したときに利用した300円引きのクーポンは使わないの?

あのクーポンはひがし北海道フリーパスの有効期限じゃないとだめなんだ、フリーパスは昨日で期限切れてたので・・・

ここまでの費用:57,305円+940円(くしろバス釧路駅前-たんちょう釧路空港)=58,245円

約2時間のフライトの後、定刻どおりに関西国際空港に到着!帰りは駅の南海電車のカウンターで京都アクセスきっぷを買って、予算が残ってるから特急ラピートに乗ってしまおう!天下茶屋までたった38分だけどね

わーい、本当にきっちり6万円内で収まったわね、すごい!

最終的な費用:58,245円+1,740円(京都アクセスきっぷ+特急ラピート)=59,985円

いかがでしたでしょうか今回の冬の北海道五泊六日の旅、必要以上に節約しなくても低予算で充実した旅が出来る!

最終日に関しては充実してたか充実してなかったか、人によっては微妙だと思うけど・・・

みなさんまた次の旅でお会いしましょう、ボンボヤージュ!

解説君ちょっといい?さっきこれまでの旅程チェックしたら、その五で麓郷から富良野駅までの帰りのバスのぶんが明細に入ってないんだけど・・・

えっ、マジ!?あっ・・・ほんとだ・・・ふらりんさんで帰りのバスの回数券割り引いてもらったの入ってないや・・・

(本当に) 最終的な費用:59,985円+570円(ふらのバス)=60,555円

あああー!しまったああーーー!せめてラピート乗らなければ45円オーバーでなんとか格好ついてたのに・・・

これじゃジャンボフェリーで男木島行った時とおなじオチじゃない

というわけで、60,555円以下で行く冬の北海道乗り鉄の旅いかがでしょうか、皆さんまた別の記事でお会いしましょう、チャオ!

締まらないエンディングになっちゃったけど最後まで読んでくれてありがとうございました、またねー!

これまでの記事。その一その二その三その四その五

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