乗り鉄Pの日本全国ぶらり途中下車のススメその5「岩手県・久慈駅」駅周辺観光、グルメ、旅行記ブログ「震災からの奇跡の復旧、レトロな駅前デパート、あまちゃんがいっぱい」

「久慈駅」私的評価へ飛ぶ

前回の記事の続きで、種差海岸駅から久慈行きの列車に乗り込みます、またまた2018年3月のダイヤ改正で引退したキハ40がやってきました

キハ40非冷房車の車内です。天井には扇風機が設置され、4人がけボックスシートが連なっています。かつては全国の非電化路線で見られた車両ですが年々姿を消しつつあります。エンジン出力や燃費の悪さなど足回りでは新型の車両におよびませんが、椅子がふかふかで座り心地抜群なので、ローカル線乗り鉄には人気の車両です

八戸線の大蛇(おおじゃ)駅の駅名票です、ユニークな名前ですね。「蛇」という字がつく地名は急斜面や崖に関する由来があることが多いのですがこちらはどうなのでしょうか

八戸線の車窓です、のどかな田園風景が広がっています。私がキハ40を好きな理由として、座席の座り心地とともに窓を開けられることにあります

窓を開けることで視覚だけでなく風が肌に当たる触覚、周辺景色の匂いによる嗅覚、列車の音の聴覚と、五感がダイレクトに刺激されて車窓をより楽しむことが出来るのですね

ほかに光が窓ガラスに反射しないのでカメラ撮りやすいというメリットもあります

太平洋沿いの海岸すぐ近くを走ります。八戸線ではこういった景色を至る所で目にすることが出来ます

海岸沿いの路線といえば日本海沿線を走る同じ東北地方の五能線が有名ですが、どちらかというと陰鬱な日本海にくらべてやはり太平洋は明るい雰囲気ですね

住民の気質も同じ東北地方で太平洋側と日本海側でかなり違うと言われますが、なんとなく納得できます

種差海岸から約1時間、沿線風景を楽しみながら列車にゆられ、終点の久慈駅に到着です。到着したのは15時ころでしたが9時とはこれいかに・・・失礼

奥に見えるのは日本初の第三セクターで知られる三陸鉄道北リアス線の車両です。久慈駅は八戸線と三陸鉄道が敷地を共有しています(駅舎は別々)

久慈駅前に佇立する駅前デパートです。昭和40年(1965年)に建てられた鉄筋コンクリート製の重厚な造りで、建てられた当時は駅前という立地もあり、地元の買い物客で大いににぎわったそうです

しかしちょうど建築当時の昭和40年頃からモータリゼーションが始まり、地方では国道沿いに巨大ショッピングセンターが林立して買い物客の動向はそちらに移り、駐車場の用地が確保しづらい駅前商業施設はどこも寂れる一方で、久慈駅の駅前デパートも入り口は封鎖され、あとは解体を待つだけの存在でした

ところが2013年上半期に放映されたNHKの朝ドラマ「あまちゃん」の舞台となったことで事態は一変、駅前デパートは一躍有名になり、その郷愁ただようレトロな外観も相俟って観光施設として再利用できないか、という町の動きも近年出てきたようです

貴重な昭和中期の面影を残す建物ですし、同じく岩手で奇跡の復活をはたした花巻市のマルカン百貨店のように、駅前デパートの特色をいかしてなんとか存続してもらいたいなあと思います

こちらは三陸鉄道の駅舎です。市の特産品である琥珀をイメージしたカラーリングが目を引きますね

三陸鉄道久慈駅は、ドラマ「あまちゃん」に登場する北三陸駅のモデルとなった駅です。2011年3月11日に発生した東日本大震災では車両が津波に流されたり、各所で駅舎・線路・橋・路盤が流出し、運行箇所が寸断されるなど三陸鉄道も甚大な被害を受けました

一時は運行再開が絶望視される状況でしたが、東急建設が中心となった昼夜を問わぬ工事のすえ、3年後の2014年4月にはみごと全線復旧を果たしました。復興の一番列車には沿線各地で住民が駆けつけ、大漁旗と日の丸を振って熱烈に出迎えたそうです

三陸鉄道駅舎内の清雅荘弁当部が営業している「三陸リアス亭」です。一日20食限定で「まぼろしの駅弁」とよばれる「うに弁当」が有名ですが駅そばもあります、貧乏舌の管理人Pは高級食材のうにが昔から苦手なのでスルー・・・

「三陸リアス亭」営業時間:7時~16時半 定休日:不定休 料金:名物のうに弁当は1,470円、そば300円~

駅舎内に設けられたあまちゃんコーナーです。ヒロインのん(能年玲奈)が声を当てたつながりで「この世界の片隅に」のポスターが貼ってありました

1時間後の折り返し列車に乗る予定なのであまり時間がありません。遠出は無理なので駅前を散策しようと駅前デパートにやってきました、完全な空きビルと思いましたが1階にはテナントもいくつか入っているようです

駅前デパート横の市民掲示板にあまちゃん放送時のTwitter投稿ファンアート(通称あま絵)で有名になったイラストレーター。青木俊直氏のイラストが貼ってありました

せっかくのイラストなのに錆びついた画鋲で無造作に止められているのはちょっと・・・できれば専用コーナーを設けて丁寧に展示して欲しいです

駅前の各店舗のシャッターにもイラストが

目立ちませんがシャッターのイラストの横に貼ってある久慈秋祭りのポスターには、久慈出身の戦国武将、津軽(大浦)為信の姿も写っています

津軽為信はもともと南部氏配下の武将でしたが、独立して弘前の地に津軽藩を開きました、戦国時代でも稀有な一代での大名への成り上がりを果たし、東北の梟雄と呼ばれる戦国武将です

歴史的経緯から旧津軽藩領と旧南部藩領は今に至るまで微妙なしこりを残す関係ですが、ここ久慈は津軽藩の藩祖出身ということで南部にありながら例外的に津軽びいきの土地のようです

かけそば:300円

駅そばがあるとスルーできないので、JRの駅そば屋さん(伯養軒)でかけそばをいただきました。ダシがきいていてツユがうまい

ここ久慈駅はJRと三陸鉄道の各駅舎に駅そばがあるという、利用者数に比して珍しい両立状態が続いていましたが、JRの駅そばは2018年に残念ながら閉店してしまいました

折り返し列車出発まで少し時間が残っているので、駅の地下連絡通路から東口方面に10分ほど歩いてスーパーマーケットで惣菜を買い込みます。北東北地方でおなじみのユニバースですね、とにかくお店が広い!

「ユニバース久慈川崎町店」営業時間:9時~22時

帰りのキハ40車内でお弁当と一緒にこっそり三陸鉄道駅舎の売店で買った久慈ありすのクリアファイルを記念撮影です

久慈ありすはトミーテックの鉄道むすめシリーズのキャラクターの一人で、地元では岩手県知事が「わたしの嫁」とけしからん(?)発言するなど抜群の知名度と人気を誇る三陸鉄道のマスコットキャラクターです

2018年におこなわれた鉄道むすめトーナメント(人気投票)では、泉北高速鉄道の和泉こうみと歴史に残る壮絶な激戦を制し、見事優勝を果たしました。「しおさいシュンフォニア」を脳内再生しながら久慈を離れ、ホテルのある青森まで戻ります

「久慈駅私的評価」(10点満点)

補足説明

駅への到達難易度:近隣の空港・大都市・新幹線駅からのアクセス

駅の雰囲気・設備:駅の利便性や駅舎の歴史的価値、芸術性など

駅周辺の利便性:駅から繁華街までのアクセス、駅周辺の商店やホテルの充実度など

グルメ:その土地ならではのグルメの充実度、レストランの数、選択肢の多さなど

自然:駅周辺の自然環境

駅への到達難易度:☆☆☆☆☆☆☆☆(8点)

鉄道でのアクセスにこだわらないのならば盛岡駅から直通バスで2時間ほどだが、鉄道でのアクセスとなると八戸駅から八戸線で約2時間半、盛岡駅からは山田線と三陸鉄道リアス線を乗り継いで4時間以上かかる。沿線風景が楽しい路線なので乗り鉄的には鉄道をおすすめしたい

駅の雰囲気・設備:☆☆☆☆☆☆☆☆(8点)

JRは島式ホーム1面2線、三陸鉄道は1面1線。列車交換や夜間滞泊の関係で広大な敷地を有する有人駅。JRの駅舎は風格がある。琥珀カラーの三陸鉄道の駅舎はこじんまりとしているが、名物駅弁やあまちゃんコーナーなど観光施設も充実していて楽しい。

駅周辺の利便性:☆☆☆☆☆(5点)

駅正面にあたる西口すぐの駅前デパートは現在1階の数店舗が営業するのみ、郵便局、銀行など公共施設はあるが、商店やホテルは少ない。地下通路を通って東口の国道沿いのほうがスーパーマーケットなどもあって栄えている

グルメ:☆☆☆☆☆☆☆(7点)

「まぼろしの駅弁」と呼ばれるうに弁当は、うに好きならば必食。かつてはJRと三陸鉄道の双方に駅そばがあったがJRは2018年惜しまれつつ閉店。食事どころの選択肢は少ない

自然:☆☆☆☆☆☆(6点)

久慈駅から2キロくらい東に歩くと久慈港に着く。皆と近くに公園などもある

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